親と子/yumekyo
 
梅雨の合間の蒸し暑い日に 
祖母(はは)を見送った父は 
背負い続けた重たい荷物を 
漸く下ろす事を許されたようだ
まなざしが温和になり 
急にやつれて見えた 
初老の男であった
親と子の問題は文明以前に始まり 
現在に至るまで悠然と生き残り続けている 
人の親ではないが
親子とは火種の臭いを感じさせなくても 
本質的に一触即発の関係であると感じることはできる
子という存在は
親にとっては神に投げ渡された客観的な自らの像
子は親から目をそらすことはない
たったそれだけの理由で
親は子に対しては屹立し
片隅に緊張感を具備して相対するのだ
そしてどちらか一方
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