境界線/さつき
私の世界は曖昧だ。
紫色の朝焼けに家を出る時、
青い夜と赤い朝の暗い光に照らされる。
同じ顔と同じ服の人の中
灰色の箱で機械をいじり
大量生産の一翼を担う。
同じ表情と同じ口調で
毎日同じことを話して
自分も大量生産の産物と知る。
そして、緑色の夕焼けに帰って来る頃、
私はまた光と闇の狭間にいるのだ。
青い空も白い雲も
私には温かく映るけれど
時に色を無くしては
私の足先を凍えさせることがある。
灰色の箱も大量生産の産物も
無味無臭で温度がないはず
なのに時にひとの温もりをもって
私の肩をひどく揺さぶることがある。
どこから内でどこから外か。
どこまでこちらでどこからあちらか。
どこまで私でどこまであなたか。
鮮明な線で明確に
区切ることができない世界に
私は生きているようだ。
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