月を知っている/朧月
僕は
知っていることと
知らないことを同列に語ってはいけないと思い
月についての
青いだとかまぶしいだとか
ありきたりな語句を沈めた
ほらね
僕の話なんてそれほどきいてない君が
半透明な顔をして
月の輪郭をなぞるだけで
いいんだ
昨日から煮ている
シチューを解放してあげようよ
命たちが コトコト音たてて待っている
木の葉は風に遊ばれてる
冬は待機しすぎて飽きて
秋にじらされながらの
雪はまだまだ山を越えられない
知ってることを忘れたら
知らないことと並べてもいいの?
僕はまた言葉を使って
君と交信する のに
ほらね
僕の話なんてそれほどきいていない君が
そろそろ透明感を増して
うかぶ 空へ 空へ
戻る 編 削 Point(3)