猫の禊ぎ/モリー
死んでも軽やかに横たわる子猫の上に
その兄弟はいつまでも座っていた
擦り寄ったり愛したりせず
ただ、冷たさを感じているようだった
剥いた目は光すらとらえない
傍らに居た祖父は散歩に出かけた
祖父は最近、地から数センチ浮いて歩く
私は清らかな心で見送った
ただ、温かな影を思っていた
私の目にはいつだって死の虫が映っていた
この灰色の空に
猫や、行き場の無い切なさを
そっと優しく重ね合わせ
はみ出たところを楽園と名付けよう
私の祖父もすぐに召され
私もまた、すぐに会いにいくのだ
虫は毎日増え続ける
私は祖父の帰りを待つあいだ
死んだ猫を愛で、撫でた
兄弟からは強く威嚇されたが
彼らもまた、何かを待っているようだった
弟がうちから餌を持ってくると
彼らは勢いよく走っていった
私の指は死んだ猫の喉を鳴らした
死ぬ前に貴方がみせた身震いは
感極まってのことか
つまりは喜びに泣いたのか
猫の気持ちは誰も知らない
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