塀を乗り越えたかった猫は/森の猫
都会のマンションで
生まれ育った猫は
その3LDKが全てだった
たまあに
ベランダで日向ぼっこをする
エアコンの室外機に
ぴょんと飛び乗り
滑りやすい
手すりの上に登ると
前の都道がみえる
地域猫たちも徘徊する歩道
ある日
猫は
少し カラダの大きな
茶トラの猫を目にした
長いしっぽをピンと立て
ゆったりと
縄張りの巡回をしているようだ
はっ
猫の小さな胸は
ドキンとした
なんだろう
このキモチは・・・
猫は外に出るのは
年に一度のお注射のときだけだ
なんか
あたしも
外猫たちと混ざって
話
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