塀を乗り越えたかった猫は/森の猫
 
都会のマンションで
生まれ育った猫は
その3LDKが全てだった

たまあに
ベランダで日向ぼっこをする

エアコンの室外機に
ぴょんと飛び乗り

滑りやすい
手すりの上に登ると
前の都道がみえる

地域猫たちも徘徊する歩道

ある日
猫は

少し カラダの大きな
茶トラの猫を目にした

長いしっぽをピンと立て
ゆったりと
縄張りの巡回をしているようだ

はっ

猫の小さな胸は
ドキンとした

なんだろう
このキモチは・・・

猫は外に出るのは
年に一度のお注射のときだけだ

なんか
あたしも
外猫たちと混ざって


[次のページ]
戻る   Point(5)