スピンアウト/砂木
色使いが上手じゃないし
ぬると濃くなり はげると驚く
でも 素ッピンというわけにもいかず
無駄にタップリとクリームをつけて
ちまちまとリップなどで装い
他人様にはコードネームのような
新たな顔面の生物になりすます
しかしながら もしやもしや
桜の花びらのようなピンクが
似合うのではないかしら
モデルの彩色された唇を見比べ
可能性の発見に ほくそ笑み
勝手にしたらという冷たい視線に
うん するする 身勝手万歳
どうにもならない血は争えない
記憶がものをいう生物世界のくさび
でも今 鏡に映っているのは勝手な自分だ
記録して気が乗り移るくらい記録して
望みが儚く散ろうが溺れてしまおう
すました恐がりが呪詛にすがりつく
新しい朝 新しいピンクの唇
こころなしか顔色もいい
生まれ変わったかも なんて
「おはよう。」
「あー 口紅だけわかーい。」
注)氷点下生様の詩からの連想詩
氷点下生様 お題をありがとうございます。
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