消費者/yumekyo
 
夏 稲は半可通の青空に憧れ 
精一杯の背伸びをする 
間近にある 黄金色の向日葵は糾弾の対象 
秋 成熟した青空は遥かに高く遠くなり 
稲は内々に埋まらぬ空隙を抱えながら 
頭を垂れて収穫を待つ運命 
あれほど向日葵を虚仮にしていたのに 
役に立つ為にと自らを黄金色に染めている 
されど車窓の外に受け流すのであれば 
稲の懊悩など思考の端にものぼらない 
古くて新しいコメ問題の根源は 
畢竟 稲穂にこそ内在するものであるが 
精米された米粒の側からもっぱら論じられるに過ぎない 
蝶の成長を見守った記憶のない男の子と 
球根から花を育てた記憶のない女の子とが 
街で
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