お葬式/オイタル
約束の黒い時間を巡って
波打つ人々の肩でした
風も騒がぬ午後でした
フィナーレが始まり
フィナーレが終わりました
細いこずえの先に
歌のひとかけらがぶら下がり
がらんと乾いた
秋の日差しに回っていました
(あなたは
石ころのことと
さよならのことばかり
うたっていた)
目の細い老婦人はうなだれ
髪の長い老紳士が
ポケットの中で指先を赤く
握りしめていました
(わたしたちはだれも
鳥の鳴く方角からやってきて
草食む牛が首をもたげる彼方へと
去っていく)
外に出てしばらくは
良く刈られた草の上を歩きました
広場に潜む水道を
水が静かに滑って行きます
ワルツで
(屋根の上の雲の影があやしく大陸を作って
ドーバー海峡まで伸びていく
人が
明るい坂を上ったその向こうへ
消えて行く)
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