流れた水が下流に達した (他/紀田柴昌
流れた水が下流に達した
下流に達した水が底をはいずり回っている様だ
これから その期限まで のたうち回るのだろう
何も言わず 何も動かず 徘徊する事となろう
植物は 根と葉からその原動力を與る
だが 葉は千切れ 根は腐食させられた
明日が来る 明日が来れば 今日は過去となる
過去は つねに後ろ向きだ
未来は つねに先にある
今は つねに 流れ落ちてゆくだけ
流れ落ちるが、上流は見えない
永遠(とわ)に続くと思われる 十五分。
只、漠然と 只、荒涼と
誰か 上流への流口を教えて呉れ
*
Cigarは 私の時間
自由になる 自由になると思える私の時間
短くなると 朝が来る
眠る瞬間(とき)の朝が来る
*
夜ハ水
流レ落チル流水ノ様ニ
落チル先ハ 漆黒ノ花園
漆黒ノ花園ハ ヤガテ消エル
消エユク 煙ノ様ニ
時ヲ忘レ 過去ガ未来ヲ追イ抜イテ
行ッタ時 朝ガ来ル
全テ 忘却シタ頃ニ
*
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