灰/
紀田柴昌
紫煙の影に 見ゆる 君の影
君は 僕の 灰と 灰をくだく時
耳たぶはアメフラシとなり 海中を飛び
眼(まなこ)は その大海原に 溶けて 消ゆ
心の臓は 血を逆撫で 灰と化す
廃墟の庭園に 影を見出した
それは 二つ。
灰が二つ。
交じり合うことがないかもしれぬ、二つの灰
でも、それを願う
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