嘘の中の真実/
朧月
トイレにはいるたびに
作り笑いの練習をする
たまには心から笑えるのではと
期待もしながら鏡をのぞく
宗教しているおねえさんは
嘘でもいいから笑いなさいと言う
嘘でしか笑っていないというと
嘘はつかない方がいいと言う
天気予報に騙されて
騙されたと思ってと言う母に騙されて
騙されたと嘆く父の子になって
人は嘘から逃れないことを知る
トイレの鏡が映し出す
私の顔まで嘘になればいい
なのにいつでもその鏡は
確かに私の顔しか映さない
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