魂の砂漠/一 二
るんだ…
こんなに嬉しいのは…
初めてだよ…」
私は泣きながら笑顔で
彼女を見上げた
彼女も笑顔だった
彼女の身体はいつのまにか
美しい光を発していた
もうどこにも血の跡はなかった
「おにいさん!周りを見て!」
彼女が叫んだ
私は周りを見た
いつのまにか
周りは緑の草原に変わっていた
心地よい潮風の匂いがした
「わあ、きれいだね、
おにいさん!見て見て、
向うに海が見えるよっ」
「ああ、本当に、綺麗だ…」
「おにいさん…?」
私は膝を着くと
彼女の手を取り
自分の額にあてがった
「…ありがとう…
ほんとうに…ほんとうに…
ありがとう…」
彼女はそっと
私を抱きしめた
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