ナギ/砂木
っている
通じるわけがない 相手は野性の鳥だ
飼いならす気もないし共に生きられるわけじゃない
たまたま近くに巣を持ったから親しみを持ち
生きる気力を貰った鳥
この冬を迎える寒さに死にませんように
ふと願い気にしているのだ ナギ と呼び
朝 出勤のため車を走り出させたら
上を飛ぶ鳥がいる
チチチ と 響く鳴声
まさかと思い空をみると ナギだ
黄色と黒の体が 真正面の木の上に止まる
ナギ なんだか大きくなって
チチチ と 高い木の上から私を見送っている
ナギ 行って来ます 行って参ります
時々 車に寄り添うように飛ぶ鳥を
私は自分の都合のいいように
飼いならした妄想の餌食にしているのかもしれない
私の事なんて誰もほんとは知らない
知るはずがない 私もあなたを知らない
それでもこの心に寄り添い鳴き続ける響きを
ナギと呼び 名前にとまり続けて行く
逃げ切る 爪から くちばしから
カーブで チチチと ナギが揺れる
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