諧謔集/豊島ケイトウ
 
いてとりわけ青鬼は私に気があったのかいつも近くの山から採ってきた松茸をこっそり焼いて食べさせてくれたが他方赤鬼は誰かから私が隠れて松茸を食べていることを聞きつけ大きな棍棒で私をめためたにしそのめためたを理不尽に思った青鬼が赤鬼をめためたにしそのめためたを理不尽に思った赤鬼が青鬼をめためたにしそうしてお互いにめためたにし合いながら息絶えたのは周知の事実というか有名な話であるがしかしその病院の近くの山でたいそう立派な松茸が採れることはあまり知られていないため私にはとても好都合であり毎年秋になると家族総出で松茸狩りを楽しませてもらっているあんばいである。

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