石について/紀田柴昌
石の池
窪んだ中に 見ゆる雲
早々とかけてゆく流水の涙
時は 池の中で腐食して病(止)む
問われれば 流れ
流れては 問われる
白く濁り、 消えては 追(終)われる。
解き(時)は 解する事は無く
石(意志)は、元々無であった事に気づく
*
午前2時の夕げ
逆らうことはできず
時の刻みを歩く
池の中の石を積んでゆくだけ
明日の夕げと今の夕げは
同じであることに気づくことが
できずに 今の石を積む
煙っては消えるごとき積もれた石を砕く
音なき声の石(意志)
残りなき池の水
眠りが 積んでゆくのみ
*
石の器
固く沈んでゆく
底には丸くて軽い鉄の器が浮いている
沈んでは浮き やがては どちらともつかない
中央の砦に囚われる
手が啼いている
それらを掴みたいと叫んでいる
叫んでは消え、沈んでは浮いていく
永遠の十五分の身体に
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