返歌/三田九郎
 
無地のキャンバス塗りたくる

台詞吐き出し続けてる

時代遅れの汽車は遠く

未練がましくたなびいている

あの排煙は何のつもり

セピア色の破れたアルバム

寒空に下手くそギター

音色が過去を後追いしてる

変わりゆく町

変わらない彼の歌

もう何年になるんだろう

振り返るのが得意な彼は

別れた彼女を今夜も歌う

彼の歌に群がる人

通り過ぎる人

視線を送る人

送らない人

道は分かれ

二人は別れ

とりかえしのつかないことが

今日も静かに降り積もる

それぞれに理由があり

理由にならない感
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