返歌/三田九郎
無地のキャンバス塗りたくる
台詞吐き出し続けてる
時代遅れの汽車は遠く
未練がましくたなびいている
あの排煙は何のつもり
セピア色の破れたアルバム
寒空に下手くそギター
音色が過去を後追いしてる
変わりゆく町
変わらない彼の歌
もう何年になるんだろう
振り返るのが得意な彼は
別れた彼女を今夜も歌う
彼の歌に群がる人
通り過ぎる人
視線を送る人
送らない人
道は分かれ
二人は別れ
とりかえしのつかないことが
今日も静かに降り積もる
それぞれに理由があり
理由にならない感
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)