壊れてしまったイメージ/真島正人
 


よくできた箱の中に
一つの因子が
入ってきた

それは流動し
箱の中のよくできた
因子たちを
かき回した

たった一度の邂逅
たった一度の瞬間

夏休みが終わると
少年は帰らなくてはならない

少女たちは
肌を赤くして
夏に抵抗した

壊れてしまったイメージ
それは水溜りみたいなもの
見えないものを見ようとするのは詩で
詩は人間と
接続しない

壊れてしまったイメージ
電線の上の鳥たち
日が暮れてゆくと
通りのタバコ屋の
シャッターが下りる

壊れてしまったイメージ
仲の良い親子
アスペクト比1:1の幽霊
接続の方法を
手探りしている



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