ウイスキーの夜想曲/吉岡ペペロ
プラスチックコップのなかの氷に
ウイスキーをかける
透明に琥珀がながれる
いつもの儀式をはじめている
コップをゆらして
ウイスキーを
氷のつめたさに近づけるのだ
カタカタカタ、コトコトコト、
それがころりとした音になるまで
カタカタカタ、コトコトコト、
豊橋を通過の電光掲示
じぶんのちいささはそのまま
他人の、世の中のちいささだった
アルコールでそれをしびれさす
いや、その思考をしびれさす
ブルース
それは人間ぎらいのじぶんへの
カタカタカタ、コトコトコト、
夜想曲だ
カタカタカタ、コトコトコト、
プラスチックコップのなかの氷に
ウイスキーをかける
透明に琥珀がながれる
いつもの儀式をはじめている
コップをゆらして
ウイスキーを
氷のつめたさに近づけるのだ
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