晩鐘/瀬崎 虎彦
 
ひびわれて
 よい暁の裂け目から
晩鐘の漏れ出ずる闇
         雲

弱弱しい
 足取り 振る舞い 声のピッチ
雪が降る頃には
    もう 思い出さない

崇高の美は
 扼殺されました
木曜日の未明

土踏まず
 カナトコに散る
火の粉 かなし
戻る   Point(0)