腐水/うずら豆
 
いつもそっと寄り添っていた君
無口だったけど
精一杯の優しさだったんだね

君が去って思ったよ
僕は酸素の足りない金魚鉢の金魚さ

見苦しくアップアップしているよ
独りじゃ生きてゆけなかったようだ

金魚鉢越しに
綺麗に手入れされた花壇が見える

『街』という名の花壇は
きっと別世界なんだろうね

君もそこに行ってしまったのか
去ってしまったのは僕の責任

君の大切さに気付けなかった
僕の取り返しのつかない失敗

君は空気
居て当たり前なんて
ただの傲慢だったんだ

今頃は花たちと
仲良く光合成しているのかもね

僕は大きな失敗を悔やみながら
腐っていく尾びれを眺めていた


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