おうち かたおもい/
池田実緒
デイケアの送迎バスを待っている老人と毎朝すれ違う
車椅子の上で介護者と共にずっと道路のほうを見ている
わたしはその道を通りすがって
保育園の前を抜け
小学校の向かいの会社へ足を進める
自転車から降りてくる幼児とか
ランドセルで突進してくる小学生とか
死んだ魚の目をした社員とか
遠くを見ている老人が
道路にひとつまとまった朝
どこかへ通うという習慣はこの先何年も続くのかあ
通わなくていいのはお墓だけ
おうちに永遠 片想い
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