玄関/乱太郎
一日に一度は玄関を開けているだろう
仕事に向かうためだが
僕は薄汚れた透明な抜け殻を羽おり
「僕」の言葉を放り投げる
外に出れば
そこは樹木の生い茂る密林だ
昨日通ったはずの道は
すでに枯れ葉に覆い尽くされ
嘴の尖った鳥たちが
甲高く鳴き声を飛ばしながら
死骸を貪っている
地球の裏側で
蝿に集られる子供たちがいたとしても
どうでもいいことだ
泥水だろうが
取り敢えず喉が潤うならそれでいい
一日に一度は玄関を開けているだろう
家に帰るためだが
僕は泥のついた革靴を脱いで
「僕」の言葉を探してみるが
灼熱の砂漠の中で
干乾びていることに気づく
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