霧の顔/
殿岡秀秋
ら羽を育てる
ぼくが死ぬ間際になると
過去の感情が
その場面をともない
湖に大きな波となってうねるだろう
蛹から抜けてぼくは飛び立つ
湖面の上で羽根を振るわして
重なる波の
行方をみおくる
霧が
湖をだくのは
生まれてくる子どもを
受けとめるのに似ていないか
重くても
泣きやむまで
あやしつづける
母のように
霧の顔が微笑む
戻る
編
削
Point
(5)