燃えないごみの日/salco
 
何もかもが過ぎて行く
そして何もかもが帰って来る
落とし、奪われ、失くした何もかもが
心の中では連綿と紡ぎ直されてつながって行く
これをウィーヴィングと呼んでいる
トリックとまでは行かない修復作業とでも言うか
ハッピー・コンティニュイング
物語はこうして途絶しない

過去の出来事は心に消えない
見えぬ弾痕は深く食い入り神経を焼き続ける
けれど今、眼前に狙撃者がいないのと同様
記憶の脅威もまた現実には存在しない
吹き荒れた暴風の正体は一過の気象に過ぎない
そんなものより今も在り続ける自己こそが強大なのだ
そして尊い
今日在るという、絶対的な勝利
これこそが脅かしを凌
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