戦争/戦争/戦争/真島正人
 
やっぱり戦争は
起こらなかった

歌いつくした歌手の
少し疲れた喉が
歌を歌っている

午前3時を過ぎた頃
すっかりと時代は
変わってしまった

アスファルトが
材質を取替えられ
真新しい黒さに
恥ずかしそうにしている

歌いたい歌を
歌えた頃を
とおおおく
とおおおく

置き去りにしていく

やっぱり

戦争は起こらなかった

そんなところに
ミサイルは落ちなかった

そんな海に
波は立たなかった

むしろ
不自然な
大人びはじめた
14歳の少年たちの
ピンク色の肉体のほうが

おっ立っていた

直立
不動

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