びいどろの夜/
瀬崎 虎彦
びろうどとびいどろの
ちがいがわからなくてこまる
ことのない青春をおくって
きました このわたくし
くちびるとくちびるを重ねて
あまい嘘をささやきあってみたい
わたくしはいつまでもひとりなので
さびしさにきづく暇もなかった
この夜はガラスの破片で
示し合わせたように
わたくしの喉元に爪を立て
荒唐無稽の闇のしじまに
ふと ラヴェンダが香ったような
気がするびいどろの夜
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