【連詩】 家族ピアノ/古月
腐っているといいましたが父は
猫とわたしの手をひいて越えられなかった
裏庭の川をひとまたぎ
それきり
腐った足をはずして変色した家族のたいせつを叩くファ、シ、レ、ソ、ミ、ド、レ、カ、ラ、シ、ヌ、ノ、カ、シ、ラ、」、
川には たくさん
和音が ながれて
はずされた 器官に
ひっかかり 僅かに
ずれて い く 音 )、(
鍵盤を走っていく、
母さん、父さん、ぼくと妹、並んで鍵盤を叩いて、猫、
音楽は鳴りますか、芥子の花、が、溢れる、
ピアノの蓋が開いて
やまない談話と
拡散、しては返す
「ぼくたち
鳴り響いています」
なめらかな五本の指が
ひらいてとじて
ひらいてとじて
「家族は
終われませんでしたね」
不協和音、
。
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