【連詩】 家族ピアノ/古月
それにはとても時間がかかる
黒鍵をはじからかぞえていた妹は
一番心細くなったところで消えた
そして、長い間うなだれていた父さんが口をあける
芥子の花、
白い、
縁側は燃えて、
みんなみんな大切な僕のファ、ミ、
床にひたり、と立っている
足や、豆腐を
のせた手や、母の姿はいつも断、片で
少し、届かない位置の音、
みたいで、
母さん、父さん、ぼくの
たいせつな家族、の
鍵盤を叩く ぐちゃり
音が消えるのを待っていた、
たとえるならそれは、まばたき
ちらりちらりと見えかくれして
遅れ、ひとつずつそれぞれ
落下する、赤子の手のうえ
握りつぶされた譜が
積
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