『suzu no ne』/Leaf
 
鈴虫の鳴く夜更けに気おくれしたぶんだけ
あとから遅れてやってくる羽音のような放心

懺悔しなくてはいけない気分に苛まれ
吐き出したばかりの蝶番と
見つからない鍵を探して途方に暮れる門番の気持ち

そうすればいい、と囁いてくれた君との約束のようなもの
実際に存在したかどうか、怪しげな背中
見たことあるような、ないような

もしも、という仮定の中に潜む無意識の階段を
降りようとすれば、地球が下がり
昇ろうとすれば、月が離れる

鈴虫の音が何かの合図かも、と
耳を澄ませて、遠くを意識するように
砂利道の路肩に寄せた想いは
羽音に乗って深黒なる夜空
跨いで飛んでいけ



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