♯2番線列車/朧月
今日も君は
大型の想いを飲み込みながら歩いてゆく
そんなには無理ではないかと
私の心配に気付かず通り過ぎる
ホームにつくと開いたドアの中に
ぎっしりヒトがつまっていたから
後ずさりしたとたんドアは閉まった
次の電車は
振り返って過去へゆきたくなる
反対側のホームです
とアナウンスがはいる
海
へゆこうとしたけど
出勤時間だから
売店で潮の香りだけを買う
プシュ
あけた缶から
憧れのあおいあおい海が
のぞきこもうとして
プルトップにひっかかって
黄色い線までさがって
さがって押さないで
がったん
今日も私の乗る電車は
しごく真面目に
目的地まで迷わず走る
ほんのわずか
車窓から
迷いをにじませた
枯れ木が舞っている
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