かれん/salco
 

それとは対照的なストッキングの傷みと汚れが
底辺の自堕落と卑猥を痛ましく主張しており
ほぼ全面に広がる伝線の上には不自然に膨らんだ白いパンティーが
生理ナプキンと所属不明の性器を暗示している
一体、この女はアクメをさえ明晰に自覚できるのだろうか
そう、支障はない
感覚は認識の比ではない

しかし歌舞伎町の真下へと繋がる地下道で
数知れぬ好奇と嘲笑に身を晒し
あるいは誇示するようでありながら
もはや数の一員としての意識を軽やかに離脱して、
絶対的な個の中にのみ安住しおおせた彼女が今、対面しているのは
宇宙ほどにも気有壮大な赦免ではないのか
誰もが憧れながら生涯手にできな
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