オレンジ色のスキー靴/山人
 
「こうなって あういてう」 指差す君
「こうなって あういてうぅ」 何回も
「へんな ロボットぉ」 僕に訴える
こうなって・・・
25年前の君の声が
僕がうなずくまでずっと



小さなスキー場のパンフレット
チームの君は得意気にポーズを決めていた
三流の道具に身を包み
オレンジ色のスキー靴を履いて雪を切り刻み
旗門をくぐりぬけていた
君がまぶしく見えた

芝生は華やぎ
嫉妬と憎悪で雪は赤く燃えていた
曇ガラスを爪で引っ掻くような歯がゆさが
赤黒く粘った

君が負けた日
ガタピシと車を揺らし
幾度もタバコをもみ消した
君を踏み潰した風は
揚々と吹き
[次のページ]
戻る   Point(3)