あなたが求めたモノクロームの断絶/真島正人
{引用=
……結局
そんなものはなかったのだと
あなたはため息をついた
底冷えのする10月
炎で焼かれたような歳月が朽ち果て
それが桟橋のように見えるとき
あなたはやっと暗室にいた
守られているかのような暗闇に
御伽噺をたくし
なけなしの財産をはたいた末に
手に入れたフィルムで
あなたは撮影した
夜の街を
夜の人を
夜の空気の中に粉になった言葉に出来ない悪寒を
そこから照射されるはずの
ほんの小さな爪あとのような
なにか
なにか
なにか
教え子になり教師になり
あ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)