コメディ / ****'04/小野 一縷
 
 死んでは蘇り また撃っては殺す
金色の草原を往来する 狂笑


骨が石のように白く 突き出た急な坂道を
息を切らせて 逃げるアフロディテ 
香油に塗れた少年兵達が 銃剣で襲いかかる
足元に 彼らの 父母の骨片が 散らかっている
彼らは皆 クレイオの流す涙を好んで飲む 
そして夢見心地のまま 艶やかな肉体を躍らせて
女神を狩る それが何よりの娯楽


歴史図には 放浪するキリクスの血縁が 
芝の根のように びっしりと張り巡らされている
それを知っている旅人は皆 悠久の旅路を 
希望と知性から授かった 寡黙な眼差しで
目蓋へと転写してゆく


二本の古木からな
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