売れ残ったみかんの甘い匂い/チャオ
 
三人きりのアパートの飲み会では、
ダンボールがテーブルになる。

いい加減に酔っ払ったダンボールの周辺に
いい加減散らかったつまみが散乱している。

終わらない夜に、注がれた日本酒の香りが
疲れて帰ってきた親父の息の匂いに似ていた。

たたみに寝転んだ友達の横顔は
売れ残ったみかんの甘い匂いに似ていた。

網戸のない窓は開け放たれていた。

小さなうざい虫が、裸の蛍光灯にぶつかって、ぱちぱち音を立てた。

近所の明かりが視界に入る。

話しかけようとしたのに、言葉が出ないで苦笑した。

昨日の台風の話でもしようかと、
切り出した天気の話は、思いもかけず、大
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