一小節くらいには/松本 卓也
 
言葉が欲しい
労わりでも気遣いでも
何だって良かったけど
とりあえず優しさがあれば良い

時間が経過していきます
永遠に向けてゆっくりと
そこで終焉を迎えてはやがて
ある時点でそんな事もあったって
振り返れるほどの時間
過ぎていくのを待っている

そうでしょう?

価値という言葉を思い返し
羽毛以下の質量が計上された天秤
優しさ温もり慈しみ
どれをとっても揺さぶらない

貴女にとって私とは
気を遣う必要も無いほどに
軽く薄い存在なのですね

分かっています
分かっていました
多分に強がりなのですけど
分かっていましたよ

用不要の原則に立つならば
多少の価値はあるのでしょう
世界にとってみればの話で
そんなことに心の価値は
一片も無いにも関わらす

この心の範囲内で終結する定義
寂しいけれど所詮は事実
弧のまま無限の黒に消えていく
せめて鎮魂歌のフレーズに
貴女の言葉が載りますように
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