砂の歌/あすくれかおす
 





じゃらじゃらと指があそんでる
手のひらをすべる舟でゆく
月のない 
だけど明るい砂の上



大切なものがさらさらと
くびれた小瓶に流れこむ
オールを漕いで 砂をさらって
時計に今をみたしてく



舟がきしむたびに 
足をつっこみたしかめる
誰かの一片が 
海のどこかに流れてる



浮上してった仲間もいる
ぱらぱらと黄金色をふりまき
望遠鏡で遠くを見つめ
振り返ったりしなかった



寄る辺ない深さ
砂底にむけて笑う
滲んで汚れた虹色が
透き通るように歌う



彼方に声が落ちていく
水面に火の粉が降る
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