モザイク/小川 葉
この街の
いたるところにかけられた
モザイクを撤去する
工事がはじまっている
モザイクがかかっていた
懐かしい街並は
高層マンションに立て直され
その中の暮らしは
モザイクを必要としない
洗練された外観に
隠されていく
浮浪者も消えていった
昔よりも
格差の大きな
世の中だというのに
という不思議も
綺麗な外観の中に
内包されていく
あのビルの
十八階の灯りが
朝まで灯り続けている
何をしているのだろうか
時給数百円足らずの
あの立派な高層ビルで
人々は
何をしているのだろうか
モザイクは消えていった
詩は歌詞になり
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