薫/Porter
もう僕を責めることもしなかった
点滴で膨れた身体には
幾つもの管が通され
時計の針のような心音だけが耳に響いていた
僕がしばらく伯父を眺めていると
看護士の一人が声をかけた
息子さんですか、お父さんは頑張っておられますよ
いえ僕は甥です、と答え
伯父の腕を両手でしっかりと握った
病室を出ると誰かが言った
今日はお祭りだから
伯父はさぞ楽しみにしていただろう、と
僕はタクシーに乗り
祭りが終わって町が静かになる頃に
伯父は旅立ってしまうんだろうと思った
そしていつまでも
力任せに伯父の腹を蹴ったことを悔やんでいた
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