なきもの/
木立 悟
あなたの背ひとつひとつであるように私の背もまた私ではなく
陸からも海からも白はじまりて放りたくとも放られぬ日々
二階にはもう既に亡い父が居てわたしはわたしの花を持たない
〜〜(からから)と〜(から)の涙を数えては同胞(はらから)も無しはじまりも無し
息を受け飛ぶように駆る冬の蜘蛛外を知らぬまま外を見つめる
みずいろのふたつの手のひらはざまには視線の水紋渇き起ち上がる
はじまれば終わりなくただひろがりぬまぶたの肉もつらぬく行方
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