バ 〰 カ/salco
 
還暦になりたる人の臓物はカーボンの色 朝すすり泣く
大気圧耐えるS字の脊椎は儚き生のエピタフに似る
年月を長き指にて掻きむしり爪老い侘びぬ月面映し
平穏は耳鳴りだよと腕時計外し目を揉む薄日の読書
企みの季節を過ぎて今はただ頁繰る手の指紋も薄れ
最近は腕の毛までも白くなり川瀬の舟を目に浮かべてる?
越え難き歳月の座に静まりぬ男の老いは馬鹿も残さず

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