夢みるキノコ(非食用)/朧月
 
夢みるキノコがはえていた
山の奥深くのじめじめ谷に
夢みるキノコはおかっぱで
ひざすりきれたジャージの娘

夢みるキノコは暗闇で
ラジオをきくのがすきでした
朝のぶさいく覚悟して
まくら仕様できいていた

夢みるキノコはキノコだから
いつかマツタケみたいに
スペシャルになれるって
信じていた

夢みるキノコはいつまでたっても
ただのキノコだった
食えないキノコもあるって知ったのは
登った山ででした

夢みるキノコは採られないで
キノコ狩りのおばさんをみつめてた
そうかあたしは食えないキノコなんだ
ずっと食われないんだ

夢みるキノコはいつしか
大きな傘を広げ
じめじめ谷から発信した
世界はキノコのためにあると

夢みるキノコは食えないキノコ
絶滅した村の上の
山にはえて今もしっかりと
大地に根付いています


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