秋の夜長/朧月
 
長編の旅に出て心痛んで
引き戻す だって心細くて
夜に甘えようとしたのに
休日に慣れようとしたのに

混雑する帰路みたいに
押したり並んだり
そんな行間がこわい

必要にせまられたのだろうけど
そんなに光らないで星たち
月もどうして今日はそんなに近いの

文字が大きく見える日は
私が弱い日で
グラスの中の液体の波にも
溺れそう

なにに襟をただせばいいのか
わからぬまま夜は色濃くなって
私の伸びない背筋

明日の方向へ舵をとろうとするけど
後ろを向きたい
衝動に今は勝てなくて


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