三歩分/寒雪
頭の上
白い雲が溶けて混じる水色の空
三歩離れて仰ぎ見るきみは
真上で遠慮がちな小さい太陽が
空を赤く滲ませていると言う
言葉に釣られた瞳が捕まえるのは
少しだけ青色絵の具を足した
間違い探しを挑む水色
紅の憧憬を嗅ぎ付けようと
きみの足跡を踏みしめてみる
見上げても見上げても
あるのは水色な空の連続写真
きみの足跡も途切れることはなく
三歩分の鬼ごっこは続く
太陽の返り血を浴びた公園で
透明の鞠をつき手鞠歌を歌うきみ
半身を黒い光に奪われたまま
鞠のリズムに心を委ねて
幽かに震える歌詞を耳に
昨日ぼくは死んだと歌う
きみの穢れない声に
踏みしめる砂利が旅に出て
無重力に放り出された足下
途切れることのない手鞠歌に
いつまでも宇宙服が手放せない
二人を嘲笑う夕闇の青が赤く燃える
空を見てきみは黄色いと笑った
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