多色の雨/
朧月
けばけばしい色いろを携えて
雨が降ってきた
潤んだ瞳に入り込んで
世界は泡になる
足元に忍び寄る水面に
闇を感じるのはなぜ
濡れた靴先にさえ
嫌悪するのはなぜ
車が通って水しぶきが跳ねて
少女は小さく震え
自転車は傘のせいで前も
見えずだれかにぶつかる
世界が交わる
けばけばしい色いろは雨
嫌悪しているのは心
濡れるのがいやなのはなぜ
この身は縮みそう
車の中では無音で
ワイパーが見せているのは
雨とこの世の境目です
私はどちらにいるのですか
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