永久の春の国 / 霊魂/salco
 
 永久(とこしえ)の春の国       霊魂

永久の国が空にある    森をさ迷う恋人よ
雲雀の嬉しげな    安らう時を知らぬのか
姿無い囀りの遥かな高みに    湖水に休む月影を
永久のうららの春があり    不意のお歌でお前は散らす
仰向いた男が見つめている    か黒く夜にうなだれた野の花を
眉根を解いて微笑いつつ    真白の裳裾で揺り起こす
楽シカラズヤ?
ああ、欠伸交じりの    森をさ迷う恋人よ
風はそよそよと    墓所にもお前は縁が無い
草はさわさわと    凍った石の回廊を裸足で滑り
         まだ温い血まみれ王子の亡骸に
お前は生ま
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