旅愁/
塩崎みあき
松の木で作られた
防風林を抜けてゆく
秋風
旅立ちの日なのですね
鞄の中を
何度見直しても
なにかをあすこに
置き忘れてきたような
十月は
指先に感じる
わづかな冷たさに
不安を食んでいる
駆け出したバスの
車窓から見える景色が遠ざかる
この速さで
季節も駆け去ってゆくから
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