庭の山々/朧月
 
植木鉢が並べられていた
山もみじとかかれていた
老人はそこに山をみていた

枯れ葉が舞う小道は
細い光りが差し込んで
枝に小さな動物を遊ばせて自然は呼吸する

はせる想いで薄くなる瞳で
なにも言わない瞳はどこをみてるの?
いつをみてるの

山もみじは
細った幹と細った葉
老人は植木鉢をみながらみていない

目の前の私のことも
空気中に解き放つ
いさせて
あなたのこんなにも近くに
いるのに 話してるのに
いない
私という存在

並んだ植木鉢
そこには
山があった


戻る   Point(6)