Queeeen/salco
産
さて女王だが、日夜の狂態に目は隈取られ歌い皺が眉間と頬に刻まれ、
幾度と香油をすり込んでも肌から瑞々しさが逃げ、豚のように食べてもや
つれ鱶(ふか)のように飲んでも渇き、おまけに腹ぼて・腰痛の大儀な体で終日ご
ろごろしていては、さすがの容色にも翳りが出て来た。
それは最も誠実な注進役を身辺から失ったせいもあったろう。初産は体
内の毒素を一緒に排出するので女に磨きがかかると、いつか誰かに言い含
められた一念で不如意に耐えている女王が妙な気を起こさぬよう、鏡とい
う鏡は外され、手鏡も侍女頭が隠してしまい、居城の窓には丹念にやすり
がかけられ、銀器も総て陶器
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